2014.12.12

芸術の秋とはいかなかった2014

ということで、久し振りの更新。何だかんだ忙しくしていて、忙しいのが終わって緊張の糸が切れると風邪を引くみたいなことを繰り返していたので、後期はあっという間に12月を迎えてしまった。ということで、この秋みた展覧会をざっと振り返ろうと思います。きちっと庭園美術館の写真撮影ルールを読んだ上で、撮った写真が以下。ルールにのっとり内藤礼さんの作品であることを明記いたします(もし何か問題があった場合にはご連絡下さい、迅速に対応いたします)。

川崎市民ミュージアム 『日清・日露戦争とメディア』

これは玄人好きする展覧会であったなあ。僕の場合には、どちらかというと近代のメディア史の研究を通じて知っていた知識をモノで再確認する機会を頂いたという感じだろうか。見に行ってからもう暫くたっているので、あまり記憶が辿れないのだけれども、最終的に感じたのは展示数が多かったなあという印象を持ったのは結構覚えている。

川崎市民ミュージアムっていつ以来かなあと思ったのだが、改めてアクセスが微妙な場所だなあと思った。比較的今の住まいから近いのだけれども、こんなに電車・バス移動でかかるのと。しかも行ってしまうと陸の孤島的な。平日に伺ったのでほとんど人もおらず、感覚としては地続きの軍艦島来たのかっていう感じだった。恐らくバブル期に立ったはずだけれども、同じ廃墟の可能性を持ちながら、その後の継続的な開発でむしろ年々アクセスが良くなっている横浜美術館とは対照的だなあと。

東京都庭園美術館 『内藤礼 信の感情』

やっぱり写真とったわー。今回写真撮影可だったので、将来的に授業で使う可能性を考えむしろ写真撮影が前半はメインに。みなさん撮影する気満々なのね。どんよりした日に伺ったせいか、写真撮影には向いていたとは思いますが、改めて振り返るとうら悲しい雰囲気だった。あれだけ人も入っていたのに何故だろう?

初めて入った新館ですが展示室の(というよりはほぼ新館全体の)天井がよい。蒲鉾形のアーチが連なっていて、そのアーチの一番高い部分に照明が入っているので、明かりの感じが僕は好きでした。特に、今回の展示室の内藤さんの作品とは相性が良さそう。本館の展示を見ていた思ったのは、子供がコンテンポラリーの作品と初めて出会うには良い展示なのかなあと。建築自体に関心がある方は、内藤さんの作品は全く気づかず(邪魔されず)建築を楽しめる一方で、内藤さんをメインに来ると美術作品の鑑賞というよりは、ちょっとした宝探し気分になるので、ワークショップなどをやることを考えても、良い設計なんだろうなあと思う。内藤さんの作品て、目がかわいいのよ。普段僕が猫愛玩するときの感覚に近い。次回は、ミュージアムカフェも使ってみようと思う。

オペラシティ 『音楽と芸術のあいだ』、『ザハ・ハディド』

この二つはまとめて。ICCは、まあこうなるよねという感じ。ついでにオープンスペースも見たのだけれども、志水さんの水槽タイプの作品は好きだった。それこそ僕がコンテンポラリー、メディア系のアート作品を見出した頃に川崎市民ミュージアムでみた志水さんの作品はかなりはっきりと覚えていて(1998年とかそのぐらい)、僕にとってはきっかけのアーティストではあるんだよね。

ザハの方は、展覧会の制作者側にとってコストパフォーマンスが良さそうな展覧会。元々建築系の展覧会は一定程度若者が入るのに加えて、今回は五輪特需もあるので、いわゆる都美館で開催されるような展覧会に比べると予算大分絞っている(ひょっとしたらザハは、ライセンス的なものが高騰しているのかもしれませんが)でしょうから、比較的打ちやすい興行なんだろうなあとは思った。俺多分留学中に、デザインミュージアムでザハの展覧会見ていた気がする。

でむしろこの二つを通して思ったのは、すごく視覚を拡張されたなあという点。大友さんの作品は、言わばあれは「ハイテク幻燈」。一方でザハの方でも、彼女の作品をハイテク3D眼鏡で見せられる一角があったわけだ。しかも、結構出来が良くて、これ何分か見ていたら酔うなというタイプのもの。僕らは、日常的な画像認識経験においては、圧倒的に視覚と触覚が字義通りに混合し始めているわけだけれども、逆に異なる二つの展覧会で連続して、これだけ視覚だけを取り出されて感覚を拡張されてしまっている私の身体のアナクロニズムに、やや展覧会場を出てから戸惑ったりしたわけです。ってとこかなあ。あと2か3の展覧会を見て今年は終わりなので、もしもミュージアム単体の研究者だとすれば、完全に失格の一年でございました。

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