2021.12.26

さよなら2021

本当は大掃除やら、何やらをしなくてはいけないのだとも思うのだが、年内の授業が一度終わって、昨日今日は完全にお酒が手放せず(嘘、昼もビール一缶飲んだだけ)な状態なので、今年は久しぶりに一年を回顧してみようかなと思ったなど。

シンプルに2021年は、僕にとっては回復の1年だった。2018年度からずっと学内ではそれなりに行政職としての仕事量もそれに伴う責任もある立場で仕事をしていて、経年疲労がたまっているところに来たのが2020年度の新型コロナウイルス。元々精神的に疲労がたまっているところに、年末や年度末の打ち上げもできず、2020年の夏は非常に気の遣う事務系の書類作成を淡々と一人でしていて、2020年の秋に一度壊れかかる。

壊れかかったものの、僕の場合には学部の職場環境が良かったため、深夜にシニアの同僚にそれこそ怪我の功名というか、Zoomで相談に乗ってもらったりで、2021年にかけて少しずつ元に戻り始める。ということもあり、2021年度の冒頭、対面で教壇に立って一言目を発したときのあのホッとした感じは今でも思い出す。

2020年の底にあったときに精神的な負担感に加えてもう一つ危機的だったのは、通勤時間も含め本が読めなくなっていたこと。あまり職場の近くに住みたくない理由の大きなものは、読書時間を確保したいからなのだが、この間どうしても本が読めなくなっていた。学生の頃もかなり長距離通学をしていた自分にとって、25年間ぐらい継続していた習慣が消えかかっていたのだけど、基本はゲームに逃げ、調子が良くて好きな音楽を聴くぐらいの時期が何か月かあった。

これ意外にもこの文章を目にしてくれている全ての方と同様に、色々なストレスを2020年は感じていたのだと思うけど、ゆっくりとそういったストレスや生活習慣の変化が通常に戻っていったのが2021年だったのだなあと思う。夏にはオンラインとはいえ、教務主任時には参加できなかったInter-Asia Cultural Studiesに参加できて、久しぶりに拙い英語の発表をしてディスカッションをしてというポジティブな緊張感を感じられたし、日本語については通勤読書も普通にできるようになった。

加えて、多分僕の精神的な安定性のバロメーターである、常時学術書と小説を二冊もって通勤ができるようになったことも良かったなと。以前、このブログ自体にも記載したけど、小説の方では早瀬耕さんの作品に出会ったのは大きかった。静かな小説を書く方ですが、少なくとも僕にとってはこの10年ぐらいで一番の出会いだし、僕は結局怖くて今年は映画館に行けなかったので、もはや映画に近い消費の仕方をしていたと思う。目にとめてくれるとは思えないが、早瀬さんには感謝を改めて伝えたい。

また、今年もう一つ記憶に残った読書は、相沢沙呼の『小説の神様』の二巻目、三巻目。ラノベ感はあるのだけれども、やっぱりずっと家にこもりがちの生活だったので、僕自身不必要に「書くこと」と誠実に向き合っていたこともあって、ベッドで読みながら思わず涙がこぼれたりもした。僕は何より子供の頃学区の外れに住んでいて、行動範囲が狭い小学校低学年ぐらいまでは、本当に本が友達であり、世界への窓であったのを思い出したし、僕は良い論文を書きたいのではなくて、あくまで何かが伝えたいことがあって、それを文字に起こした言葉で伝えたいと思っていたことも思い出した。書いたそばからこのポスト読み直しているけど、やっぱり俺かなり疲れていたんだな。

2021年、もう一つ、特に後半に考えていたことは、自分の今後のキャリアのこと。もう、最終講義のお知らせなども届いているので触れても問題ないと思うのだけれども、20年僕を見てもらっていた指導教員が定年を今年度で迎え、同様に院生の頃からお世話になった先生方が異動されたり、今後数年で次々と現在の職場では定年を迎えたりする。じゃあ、僕はこれからの20年どう過ごすべきなのかという点。

これまで僕は、どこかで研究者の集まる場所を避けてきた。その理由は、僕にとって研究し何かを書くことはとてもプライベートなことで、下手に人付き合いをすることで変な欲を持ったり、劣等感や優越感を持ったりすることで自分と向き合う気持ちにノイズが入るのが嫌だったからだ(そもそも人間が卑しいので、容易に影響を受ける。しかも多分悪い方向に)。この性格は変えられないと思うので、ここからくる物足りなさは研究仲間には受け入れてもらうしかないだろうけれども、少なくとも上の世代から僕が受けた知的刺激だったり、幸せな時間を、僕にできる程度には受け渡していくような仕事を増やさないとなあとか、それって自分にできるのだろうかとか考えている。まあ、一方でこの点について考えるときは、それは本当に誰もが認める大先生がすれば良い仕事で、まだ生煮えの私のような研究者はとっとと研究しろとも強く思うわけだけれども。

いずれにせよ、コロナもまだ続いているし、僕も2017年以前の自分のような明るさは戻っていないので、2022年はさらなる回復、そしてこの経験を経た変化へのきっかけを得る一年であれば良いなと考えている。対面で会えなくても、今年も一年関わってくれた全ての方に感謝を。同時に、皆さんが穏やかに年末年始を過ごされることを願って。

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