ということで最近見たものについて。森美術館のメタボリズム展、ガンダムUC episode.4、コンテイジョンと見てきました。先週が鬼のように忙しかったので、その反動もあり。先週のイベントのことも一度書いておかなくてはとは思っているのだけれども。
『メタボリズムの未来都市展』@森美術館
一言で言うと、アーカイブのなかを歩いている感じ。一般的に企画展は、常設展と異なり一過性の視覚メディア(近年はそうとも言い切れないし、積極的にそうではないというのが研究者としての僕の立場)で、それが美術館の外部では図録として、内部では展覧会の記録としてアーカイブされていく。一方で、このメタボリズムの未来都市展は、断然アーカイブされたテクスト・メディアが視覚化されたという感覚を覚える仕上がり。僕は面白いと思ってみていたけれども、一般の展覧会以上に事前の知識の多寡がかなり印象としては効く玄人好みの展覧会だと言えるのではないか。ただ、逆に膨大な資料を編集した書籍の中を歩いているような展覧会なので、個々の展示のキャプションの提示に至るまでの膨大な作業が想像されて、個人的に面識もある戸田さんや南後さんには改めてお疲れ様でしたと言いたい。個人的に一番面白かったのは最初のスペース。特に戦前昭和期の植民地の都市計画。恐らく、日本史ではない日本史をやっている研究者にとって恐らく最後の秘境が植民地期の歴史なのではないかと思う。これは僕の領域でも同様で、非常にドメスティックな日本の博物館学において唯一僕がいつも素晴らしいなと感じるのが、現在植民地期における外地での博物館政策の研究者の皆さん。ミュージアムは近代以降の都市計画にとって一定の象徴的な意味が与えられていることもあり、建築という観点から連動して研究が進めばより面白いのだろうなという印象は持った。
『ガンダムユニコーン ep.4 重力の井戸の底で』@新宿ピカデリー
これはまあ、僕と付き合いのある方であれば僕がガンダム愛好家であることもご存知かと思うのだけれども、久しぶりに本当に泣いた。大体ガンダムの泣き所は、50話のうち40話以降に起きる主要キャラクターの戦死というのがある一定のパターン化しているのだけれども、今回は戦闘シーンでもなんでもない子を亡くした親父と親父を亡くした子供による長回しシーンで不覚にも涙した。いや、率直に言うといつから「メカものからヒューマンドラマになったの、ガンダム?」的な印象で、今回は初めてドラマとして泣けた。恐らく、このまま最終話さえこけなければ宇宙世紀史上最高の作品になることは間違いないだろうなあ。ただ、周りの客はフレームがメカ的なところに元々あるので、恐らく感涙したのは僕ぐらいで周りは「最後までバイアラン落ちなかったね。」的な会話に終始していたのが興を削がれる。二日後の勉強会の仲間との食事中にも熱弁を振るってしまった…。
『コンテイジョン』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
初めて六本木ヒルズで映画を見ました、私。これは連れが基本的にハリウッド系の映画がいいので、妥協策として最近のやつで一番面白そうと思い見てみた。監督ソダーバーグだったしね。世間的な評判はあまり芳しくないみたいなんだけれども。特に最後のネタバレの仕方が「そんなんかよ」的な話らしく。ハリウッド映画として見に行くと微妙かなと思うけれども、非常に抑制が効いていて、僕が中学生の頃にヒットした「アウトブレイク」などに比較するとクライマックスらしいクライマックスはない。むしろ、非日常を取り出すことで、アメリカ、及び世界の現在の歪みを上手く描けていると思う。論文書こうとか思うと色んな人が書けそうなフックが多い。当然、映画論。他にも、グローバリゼーション論、人種問題、科学技術コミュニケーション、メディア論etc。個人的には子持ち役のマット・デイモン見たのが初めてだったので、それは新鮮だった。
年末までにあと何回更新できるだろうか…。今年は写真もあまりとってないから特集号とか無理かもなあ。さて歯医者に向かわないと。