ということで、その2。前回は食べ物の話に終始したので、少しずつ調査で訪れたミュージアムなどについても。写真は、皆さん良くご存じのグッゲンハイム美術館。
初日は特に綿密にというわけではなかったんだけれども、アッパー・イーストのメトロポリタン美術館以外を時間のある限り優先順位をつけて、できる限りデータを取っていくという作業。帰る頃にはマンハッタン出られるぐらいまで地下鉄乗り回していたのですが、初日は多少怖かったりとか、元々かなりの健脚ということもあり、ほとんど訪問する美術館は足で稼いだのでありました。
広い意味でのメディア研究に携わるものとしてはどうかと思うのですが、『SEX AND THE CITY』とかちらっとしか見たことないのでそのときは気付かなかったのですが、セントラルパークの東側のあたりって、まさに彼女たちの居住区域だったのだということに後で気付く。歩いていて明らかに居住区域(しかも「高級」)だったのは分かったのですが、やはり日本ではあまり見かけない、どのマンションの入口にもベルボーイが立っている画や、そこから出てくるのは完全にジャージ姿(日本だと郊外の中流家庭の日曜的な)の住人というミスマッチな画に勉強になるなあと。特に、ミュージアムから都市へと緩やかに研究が展開していきそうな気配をこの1,2年感じていたので、ためになった。
その後通りを歩きながら、フリック・コレクションを通過し、想像以上に巨大なファサードを持つメトロポリタンの誘惑にも耐え、かなり奥のグッゲンハイム美術館に到着。館内ではピカソの展覧会が開催されていたのでした。グッゲンハイムに関しては、一本論文を書いていたのでそれも手伝い無意識に最初に選んだのかも知れないとは思います。まず納得したのは、これは支店欲しくなるはという感覚です。もちろん、メトロポリタンやAMNHなどと比較するのは酷にしても、グッゲンハイムに関しては、「ああこれは大規模館」ではないなと。コレクションの規模としてはどちらかというと大規模館に近いはずなので、コレクションに対していくらライトの設計とはいえ、このスペースでは苦しいだろうと。加えて、想像以上に螺旋階段状のスロープで作品を見るのは落ち着かないということも認識しました。最上階では、オロスコの展示も。はっきり言って、ピカソ展よりはオロスコの展示室の方が良かった。つうか、僕個人としてはピカソを大量に見させられるのって、ピザとかハンバーガー食べさせられ続ける感じで、途中でお腹いっぱいになることを再確認。
その後、ノイエ・ギャラリー、フリック・コレクションと流れて18時タイム・アップを迎えたのでした。NYのアート事情、もしくは美術館事情を描いた良質のルポルタージュとしてメトロポリタン美術館の館長が書いた(口述した)『ミイラにダンスを踊らせて』(ちなみにここで描かれて一度追い出されて、後半に帰ってくる学芸員が前館長)があるのですが、メトロポリタンのコレクション形成の過程で、それなりに関係性を持って描かれていたのがフリック・コレクションで、どういうテイストを持った、どういうクラスの館との相互交流があったのかを具体的に理解するうえでも、フリック・コレクションに立ち寄れたのは良かった。ただ、純粋に個人的な関心として好きだったのはノイエ・ギャラリーでしたが。ということで、今日もそろそろ字数オーバー。